先週土曜日、1月21日は当館の特別講演会
豪雨災害を越えて ― 「奄美遺産」を未来へ ―
が開催されました。
奄美博物館 館長の中山清美氏を講師に、
2010年10月20日、奄美を襲った豪雨災害による
博物館・文化財の被災状況や、その復旧・復興活動、
さらにこれからの奄美の自然・文化遺産を活かしていく
「奄美遺産」の取り組みについてお話いただきました。

写真とともに語られる被災状況。
これまでも豪雨災害については報道等で何度も目にしてきましたが、
「文化財」の被災という視点にたった講演内容は
考えさせられる点が多々ありました。
例えば、「文化財」とは。
国や県、市町村指定の「文化財」はもちろんですが、
地域や家庭にある古文書や数々の民具等も、
奄美の歴史や暮らしぶりを知ることのできる貴重な資料。
それらは、人命救助や生活再建のための復旧過程では
「ゴミ」として処分されてしまいます。
チラシやラジオを通じて「文化財レスキュー」を呼びかけても、
なかなかその重要性を理解されず、廃棄されてしまうモノたち。
何とか処分を免れ、救出することが出来ても
泥にまみれたそれらの資料を保管する場所に困ったとのことでした。
屋外では雨ざらしになってしまいますし、
体育館は避難所として利用されており、
学校も被災してしまっているという状況。
また、奄美市住用町の「原野農芸博物館」では
土石流の直撃により、多くの資料が流されたり、土砂に埋もれたりと
壊滅的な被害を被りました。
民間経営のため公的支援が受けられず、
また館内の復旧作業も、一般ボランティアだと
貴重な資料がゴミとして扱われてしまうため、
学芸員の指示のもとでの作業が必須。
鹿児島県や沖縄県の博物館協会からの支援を受けながらの
復旧活動の様子が伝えられました。
災害時の文化財レスキューの在り方について、
・ レスキュー隊の編成
・ 資料保管場所の確立
・ 「歴史資料ネットワーク」との連携
・ 被災住民への資料保存の呼びかけのタイミング
・ 市町村における文化財レスキュー体制の確立
など、多くの課題が見つかったようです。
これらの経験から、今後地域の文化財をどのように守っていくのか。
その新たな取り組みが「奄美遺産」です。
「歴史遺産」「生活遺産」「集落遺産」というテーマで
奄美群島内の重要な遺産や、歴史文化を象徴する関連遺産を
捉えなおし、それらを「奄美遺産」とすること。
集落(シマ)ごとにある地域の宝(文化財)を
住民自らが見つめなおすことによって、「奄美遺産」を
「文化財保護」だけでなく、「観光」にも役立てていきたいというものでした。
「何を大切にし、何を残していくのか」
既存の文化財の枠を超え、後世に守り継いでいきたいものは何か。
改めて考えるきっかけになりました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
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